[コラム]クリーニング×スポーツ|スポーツウェアに残る匂いの謎を解き明かす

神奈川県相模原市でクリーニング店を営んでいるハヤシと申します。

毎週クリーニングに関するブログを更新しているのですが、スポーツやアウトドアについても投稿しております。
[CROSS×]に、スポーツやアウトドアにまつわる記事を、リライトして寄稿させて頂くことになりました。

ご興味がある方は、是非、ブログもご覧いただけると嬉しいです!

http://blog.clean-hayashi.com/

さて、今回はスポーツウェアに残る謎の匂いについてです。




スポーツウェアに残る匂いの謎


昨年の事になりますが、友人と話をしていると

「バスケのユニフォームがとにかく臭う。」という話題に。

詳しく聞いてみると運動前に臭いを嗅いでもなんともないのに運動を始めると途端に臭い始めるのだとか。

しかも臭うのは写真のバスケのユニフォームのようなスポーツウェアだけだということ。

そんなミステリーを体験したことのない私は「そんなことあるんだ?」といまいちピンと来ない様子だったのですがその後、他の友人2人からも

「スポーツウェアがどうも臭う」

という話を聞くことに、、。

いいでしょう。今回はクリーニング屋の名にかけてスポーツウェアが臭う謎。解明してやりましょう。

友人達にさらに詳しく「どんな臭いがするのか?」と尋ねると「生乾き臭」とのこと。ふむふむ。以前にも臭わない部屋干しを目指してで書きましたが生乾き臭の原因は衣類に残った汚れや菌によるもの。しっかり洗えていれば防げるものなので

「しっかり洗えていないのでは?」

と私

「しっかり洗っている」

「なんなら漂白剤に漬け込みまでしている」

「その証拠に他の衣類は臭わない」

と友人

なるほど。これは洗い方と言うよりは

スポーツウェア自体に何か秘密がありそうと考えた私は最近のスポーツウェアについて調査をしてみることに。


謎の正体は


スポーツウェアにはポリエステルという素材が多く使われているのですが、スポーツウェアに使われるポリエステルはウェアの吸水性、速乾性を高める為に繊維が極細に加工されており、繊維が極細であるが故に汚れが溜まりやすく、また落ちにくいという特性があるようです。

その為、しっかり洗っているつもりでも汚れが落とし切れておらず、洗濯後は臭いがなくても着用中に汗をかくことで皮膚にいる常在菌がスポーツウェアに移り、ウェアに残った汚れを栄養に菌が繁殖し、生乾き臭を引き起こしてしまうというのです。

どうやらスポーツウェアの臭いの原因はその「汚れの落ちにくさ」にあるようです。

汚れを落としづらい構造をしているので汚れが残る

その汚れを栄養に菌が繁殖

臭う。という流れ。

他の衣類は大丈夫なのにスポーツウェアだけ臭うというのも納得です。

基本の洗濯はしっかり出来ているが、強敵のスポーツウェアを洗うには少しパワーが足りなかったというところでしょうか。

臭い発生の謎は解けたものの実際問題として起こっている臭いを起こさせない様にしなければ本当の問題解決にはなりません。汚れ残りが原因と分かっているので普段の洗濯を一段レベルアップさせ、臭いの原因を根絶します。

問題のバスケのユニフォーム(1番上写真)を友達から借り、実際に洗ってみました。




① 洗剤に漬け込む


先程から汚れ、汚れと言っていますが、この場合の「汚れ」は体から出る皮脂やタンパク質の事を言います。

この皮脂、タンパク質をしっかりと分解してもらうために「酵素」の力を借りることとします。私は写真の洗剤に、1時間ほどユニフォームを漬け込みました。

お湯の温度は40℃。酵素は40℃くらいからその力を発揮し始めます。50℃を超えると死んでしまうものがほとんどなので50℃を超えない温度で漬け込みます。

洗剤やお湯の分量はお使いの洗剤の裏面を参考にして下さい。

スポーツウェアに関しては滅多にないと思いますが色落ち等の可能性がゼロではない為、洗濯表示を良く読んで作業をするようにお願いします。

※スポーツウェア(特に速乾Tシャツなどの吸湿速乾性があるもの)の洗濯には柔軟剤、漂白剤は使わない方がいいとされています。
 理由は明らかにされていませんがおそらく柔軟剤は吸湿性を損なう為、漂白剤は極細の繊維が傷む可能性がある為だと思われます。スポーツウェアを洗濯する際は、私が使った洗剤のように柔軟剤、漂白剤が入っておらず、酵素が配合され、洗浄力の高い粉末の弱アルカリ洗剤がオススメです。
 また臭うウェアを処理する時は他の汚れた衣類と一緒に処理するのではなく単独で処理することをオススメします。

他の衣類の汚れをウェアが吸収してしまい、効果が得られなくなる可能性があるからです。


②洗濯機で洗う


1時間漬け込んだらお湯を追加し再び40℃に、洗剤も適量追加して洗濯機の普通コースで洗浄します。
洗濯表示が手洗いになっているウェアもあると思うのでその場合は手洗いコースで洗浄します。 


③アルコールスプレーを噴霧


①、②だけでも充分と思われますが、トドメの一撃にアルコールスプレーをウェアの表と裏にまんべんなく吸い込まないように注意しながらスプレーします。
ご存知の通り、アルコールには除菌効果があります。

色落ちなどの可能性がゼロではないので目立たない所でテストしてからの使用をオススメします。

樹脂が使われているもの、草木染めの衣類はアルコールでダメージを受けますので注意が必要です。

チャックの持ち手などには樹脂が使われているケースがあるので心配な場合には使用を控えるといいと思います。

アイロンもしっかりしておきます。

アイロンの熱にも除菌効果があります。アルコールがしっかり乾いてからアイロンかけをして下さい。

果たして結果は?


後日、友人にウェアを返し、汗をかいてもらった所、臭わなかったとのこと!事件は無事解決と言えそうです。

今回の方法を試してみてもまだ臭う場合は洗濯槽が汚れている可能性がありますので洗濯槽の掃除をしてみて下さい。

今回はスポーツウェアの臭いの謎を解明し、その臭いを取り去ることに成功しました。ポリエステルが汚れを吸収しやすい事、ポリエステルのスポーツウェアは繊維を加工している事、は知っていましたがそれによりポリエステルのスポーツウェアが臭いやすいとまでは考えが及ばなかった私。

言われてみればポリエステルのスポーツウェアや登山ウェアには防臭加工がされているものが多いですよね。

きっと思いもよらない洗濯の悩みがまだまだ世の中にはあるんだろうなあと、考えさせられたいい機会となりました。

今後も、スポーツとアウトドアについて、クリーニングという視点で寄稿させて頂きますので、どうぞよろしくお願いします。


~技術と信用の店~クリーニング林 

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