[コラム]機能性アウトドアウェア「ゴアテックス GORE-TEX」の洗い方(前編)

こんにちは。
クリーニングハヤシ2代目です。
アウトドアにまつわる素材やクリーニングについて寄稿させてもらってます。

今回は、「ゴアテックス」の洗い方について前後編で紹介していきますね。

アウトドアウェアを買いに行ったことがある人は、耳にしたことがあると思います。
機能的なことは何となくわかってても、詳しくどういうものか説明できる人は意外と少ないかもしれませんね。
ということで、前編は、「ゴアテックス」についてご説明いたします。




◼水を防ぎ水蒸気を逃がす


ゴアテックスのすごい所はなんといっても外からの水は防ぎ(防水)つつ内部の水蒸気は逃がす(透湿)という2つの機能を両立した所です。

コンビニの雨ガッパは確かに雨を防いでくれますがしばらくすると内側がベチョベチョに濡れてきます。

あれは外からの雨で濡れているのではなく私達の体から出た水蒸気が外に逃げられず内側にたまり濡れているのです。

雨には濡れないけど自らの水蒸気で結局濡れる。
このジレンマを解決したのがゴアテックスです。

特に登山などは汗冷えをしてしまうので、蒸れを外に逃してくれるゴアテックス系の透湿素材は非常に重要なのです!


GORE-TEXの仕組み


では具体的にどのようにして外からの雨を防ぎつつ内部の水蒸気を逃がしているのでしょうか。

その仕組みはいたってシンプルです。

下手くそな絵のオレンジの部分がゴアテックスです。
正確にはゴアテックスメンブレンといいます。

このゴアテックスには水滴の大きさの2万分の1、水蒸気の大きさの700倍の大きさの穴が空いています。

■ 水滴より小さい穴なので外からの水を通さない。
■ 水蒸気よりは大きい穴なので内側の蒸気は通す

この絶妙な穴の大きさが外からの水を防ぎながら水蒸気を外に逃がすことを実現しています。

それならゴアテックスだけで服を作ればいいのにと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、ゴアテックスは生地というよりは非常に薄い膜である為、レインウェアの場合、強度を出すために絵のように表地と裏地を貼り付けて製品になっています。

もう少しマニアックな話をすると

・ゴアテックスを表地と裏地で挟んで接着したものを3レイヤー
・表地とゴアテックスのみを貼り合わせたものを2レイヤー
(剥き出しのゴアテックスを守るために裏地はメッシュになっている)
・表地とゴアテックスを貼り合わせ裏地には樹脂を吹き付けた2.5レイヤー

と、一口にゴアテックス製品と言っても様々な種類があります。

私のレインウェアは2.5レイヤーで裏地ではなく樹脂を吹き付けてあるため軽く、携帯性に優れている反面、3レイヤーに比べて水蒸気を逃がす性能は劣ると言われています。


なぜ洗濯&撥水加工が必要か?


ゴアテックス製品は洗濯&撥水加工が必須です。

上の写真のように撥水性が落ちた状態でも雨が中に入ってくることはありません。つまり防水性には全く問題はありません。

問題なのは内側の水蒸気を逃がしてくれる透湿性。写真のようにウェアが水を弾かず広がって全体を覆うようになると水の膜が出来てしまい、せっかくウェアを通過した水蒸気が外に逃げられなくなってしまいます。

また、皮脂などの汚れがあっても同じように水蒸気が外に出るのを邪魔します。

これではせっかくのすぐれた機能が台無しで雨ガッパを着ているのと一緒になってしまいます。

汚れをしっかり落とし、撥水加工してあげることでゴアテックスは最高のパフォーマンスをしてくれます。

余談ですがゴアテックスは内側の「水蒸気」は外に逃がしてくれますが「汗」は逃がしてくれません。

ゴアテックスの内側には吸水拡散性(汗を吸い、拡散させ、蒸発させる性能)のあるウールや、ポリエステルの長袖のインナーを着るのがベストです。

今回は少しマニアックな内容となりましたが、素材の特性を理解してその力を最大限に発揮してもらうようメンテナンスをすると意外と楽しいものですよ!

後編は、ゴアテックスジャケットの洗い方について書いていきます。

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