[コラム]これだけは心得ておきたいランニングマナー

世の中に認められる良き市民ランナーを目指して

こんにちは、ランニング大好きライターの岩谷です。

ランニングというスポーツは、玄関を開ければすぐにできるというのが気軽で良いところですが、ひとつだけ忘れてはならないことがあります。
それは、一歩外へ出たら、そこはみんなが通行するための道路であるということ。そこで今回は、ランナーとして心得ておくべきランニングマナーについてお話いたします。

■みんなの道路、だから左右どちらかに寄って走る

自分の足で移動するという意味では、ランナーも歩行者に含まれるといって良いでしょう。道交法では歩行者は右側通行とされていますが、右側が危険なときは左側でも良いとされています。

※2021年3月27日 追記
 道路と歩道が区別されている「歩道」では、法律的にはどちら側を歩いても問題ありません。

ただし、ジョギングコースとして知られる皇居外周では左側走行で反時計回りという暗黙のルールがありますし、公園や遊歩道によっては、その場所ごとにルールが存在する場合もあります。そういったルールがあるコースでは、それを事前に把握したうえで、そのルールに従いましょう。

しかしながら、ルール一辺倒というのではなく、老若男女、歩行者、自転車、自動車、犬を散歩させる人、中には障害を持つ人など、さまざまな人たちが、さまざまな目的、さまざまな速さで通る道であるということも踏まえ、臨機応変、他人を思いやり譲り合いの気持ちで安全に走ることが第一です。

そのコースのルールに従ったうえで、道の真ん中ではなく、右か左、どちらかに寄って走る。これが走るときの基本となります。



■追い越すとき、すれ違うときはスピードを落とす

幅があまり広くない歩道などのコースでは、歩行者を追い越すときやすれ違うときには特に気を使いましょう。特にふいに後ろから猛スピードで追い越されたらびっくりしてしまいます。

歩行者を追い越すときは「右側通りま~す」と、後ろから声をかけましょう!などと指導されている方もいますが、私個人としてはおすすめしません。
声をかけるということは、どんなに丁寧な声がけをしたとしても、歩いている人に対して「どいて~」「横を走って追い越すから気を付けて~」と言っているようなものです。

まずは、声をかけなくても危険にならない速さまで自分がスピードを落とす、そして早歩き程度の速さで追い越せば良いだけのことです。

もしかしたらその歩行者は聴覚に障害を持つ方で、声をかけても聞こえないかもしれませんし、また、前方からやってくる歩行者は、視覚障害の方でこちらが見えていないかもしれません。

ぶつかってケガをさせないことはもちろん、恐怖感を与えることがないよう、追い越すとき、すれ違うときは、必ずスピードを落として歩くぐらいの気持ちで走りましょう。

そして横を通るときに初めて、「こんにちは~」「失礼します」などと声をかければ尚、お互いに気持ち良くなれるのではないでしょうか。

■前後左右、常に周囲に気を配って走る

左右どちらかに寄って走るというのはお話しした通りですが、これは後ろから速いスピードで近付いてくるランナーや自転車、自動車の通行を邪魔しないということです。
他のランナーや自転車の人にも、相手を思いやる気持ちがあってスピードを落としてくれれば問題はないのですが、残念ながらすべての人がそのような行動をするとは限りません。

自分の身を守る、接触などのトラブルを回避するという意味でも、前方だけではなく後方にも常に気を配り、自分を抜かしたいというランナーや自転車が近づいてきたときには、速やかに左右どちらかに退避して安全に追い越しができるようにしましょう。

音楽を聴きながら走っているという方も多いと思いますが、このときも周囲の音がきちんと聴こえる程度にボリュームは控えめにしましょう。最近では耳穴を塞がない骨伝導ヘッドホンも手ごろな価格で販売されているので、試してみるのも良いでしょう。

世の中の人々みんなが相手を思いやれる行動をすることが理想ですが、まずは“自分自身の行動から世の中を変えていく”くらいの気持ちがランナーのマナー向上につながっていくと考えています。

■仲間と走るときにはさらに必要なマナー意識

あなたが走り始めてランニング仲間ができたら、仲間と一緒に走ることもひとつの楽しみになるでしょう。でもこのとき、1人で走るとき以上にマナーが大切なこととなります。

歩行者にとってスピードを上げて向かってくるランナーは怖いものです。ましてや、2人、3人以上、集団でこちらに向かってきたらその恐怖感は倍増します。ですから、歩行者で混雑している歩道などは走らないことが基本になりますが、通過する際は横に広がらず縦一列になってスピードを落としましょう。場合によってはバラバラになって歩くくらいの配慮が必要です。

一人で走るときでももちろんですが、歩行者の多い通りを、スピードを落とさずに縫うように走るのはもってのほかです。

幅の広い遊歩道だからといって横に広がってはいけません。道幅に余裕があっても、せいぜい2列以内で縦に並んで走りましょう。

■ウイズ・コロナ時代のランニングマナー

新型コロナウィルス感染拡大後、マスク着用は人と接するときのマナーとしてすっかり定着しました。走ると呼吸が激しくなり、通常時以上に飛沫を拡散するという研究データも紹介されるなど、ランニング時のマナーとしてマスクやバフを着用しているランナーも増えています。

ランニング時のマスク着用の有用性については諸説ありますが、人とすれ違うときのマナーとしてもはや欠かせないものになっています。マスクをして走るというのはやはり苦しいものなので、周囲に誰もいない場所で走るのであれば無理をせずにマスクを外してもかまいません。呼吸がしやすいといううたい文句のスポーツ用マスクも各社から販売されていますので試してみるもの良いでしょう。

マスクランニングでひとつ困るのは、前にもお話しましたが、歩行者にとってスピードを出して向かってくるとただでさえ怖いランナーが、マスクをしてさらにサングラスまですると、コロナ前であれば“銀行強盗犯か!”と職務質問を受けるレベルの形相になってしまうということです。ですから私は、マスクランをするときは、相手から目だけは見えるようにできるだけ薄い色のサングラスをかけるようにしています(笑)。

■市民ランナーが肩身の狭い世の中にならないために

世の中には、街中を走り回るランナーのことを良く思っていない人もたくさんいます。

ランニングマナーはさまざまありますが、どんなときでも基本となるのは他人を思いやるということ。これはランニングに限らず、歩くときでも、車を運転するときでも、人として相手を思いやるという気持ちを持った行動をすれば自ずと正解は見つかることではあります。“公共の道路を走らせていただいているのだ”という謙虚な気持ちになることが大切ですね。

市民ランナーが肩身の狭い世の中にならないためにも、まずは自分自身からマナーを心得てランニングライフを楽しんでいきましょう!



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