[インタビュー]クラフトビールマニアの聖地。狂ったセブンイレブンがどのようにしてできたのか?

突然ですが、横浜にある「狂ったセブンイレブン」を知っていますか?

コンビニがあるのは、横浜・みなとみらいの新名所「横浜ハンマーヘッド(YOKOHAMA HAMMERHEAD)」。“食”をテーマにした商業施設や客船ターミナル、ホテルが一体となった複合施設として2019年10月31日(木)に、オープンしました。

こちらの施設に、ランナーまたはクラフトビールマニアの中で話題を呼んでいる「狂ったセブンイレブン」があります。

外観はちょっとシックなセブンイレブン。
しかし、店内に入ると異様な雰囲気に驚かされます。
冷蔵庫一面がクラフトビール。見たことがない、多彩なパッケージに目を奪われます。

ここは、おそらく日本で一番クラフトビールの品揃えがあるコンビニなのです。

あまりの品揃えの多さから、畏敬の念を持って「狂ったセブンイレブン」と呼ばれるようになりました。

今回は、そんな狂ったセブンイレブンこと、「セブンイレブン ハンマーヘッド店」を運営する「有限会社CVSナカヤマ 代表取締役 中山啓太郎さんにお話を聞く機会に恵まれたので、どのようにして“クレイジー”なコンビニとなっていったのか経緯を記事化させていただきます。

有限会社CVSナカヤマ 代表取締役 中山啓太郎さん

オープンから既に経営難のコンビニ

狂ったセブンイレブンが入居する商業施設「ハンマーヘッド」がオープンしたのが2019年の10月。
赤レンガ倉庫のお隣で、新たな客船の寄港地として、上層階にはインターコンチネンタルがあるこの商業施設は、多くの来場者が期待される場所として完成しました。
そして、そこの1Fに後に狂ったセブンイレブンと言われることになる「セブンイレブン ハンマーヘッド店」が華々しくオープンしました。

~オープン当初のイメージイラスト~

客船の乗員や、ホテル客が利用するコンビニとして繁盛することを期待していましたが、想定外にお客さんが少なかったそうです。
人通りはあるものの多くが素通りしてしまい、オープン当初から売り上げに頭を悩ましていたそうです。

しかし、そこに「狂ったセブンイレブン」への道のきっかけがひとつあったといいます。
というのも、チルド商品が特に売れ行きが悪い上に、賞味期限があり、遅くとも20日程度で商品の入れ替えをしなくてはいけませんでした。
しかし売れない冷蔵商品を入荷するわけにもいかず、冷蔵室にスペースが空いてしまったそうです。

そこで、アルコール類の販売自体は悪くなかったので、スミノフとかジーマなどを仕入れて販売しました。
ただ、当初から彩りがつまらないなぁと中山さんは感じていたといいます。


ダイヤモンドプリンセス事件そして、コロナ禍へ。

2020年1月。
オープン4カ月にして、さらなる追い打ちが襲い掛かります。
コロナ禍へのきっかけともなる、ダイヤモンドプリンセス事件です。

ダイヤモンドプリンセス号の停泊地自体は、お隣にある大黒ふ頭だったのですが、世の中的には同じ横浜。
客船の着岸もなくなり、観光客が激減します。

あの時代は厳しかったと中山さんは語ります。
しかし、あの期間があったから、今の形になったとニッコリ笑いながら言いました。





進むも地獄、戻るも地獄で、見つけた活路

コロナ禍で暇だとスタッフと自分たちが楽しめる売り場を作りたくなると、中山さんは語ります。
冷蔵庫が空いているので何で埋めようかと、考えている中で、信濃屋でたまたまBREWDOGを見つけて仕入れはじめました。

そして、横浜ビールなど、横浜にはブリュワリーさんが多く存在していることを知り、コンタクトを取り始めました。
まだ問屋という存在もよく知らずに、右も左もわかっていなかったそうです。


舵を振った緊急事態宣言

そして、日本は2020年5月。
最初の緊急事態宣言へ進んでいきます。
入居するハンマーヘッド自体が休業したので、さすがにお店も閉めましたが、ここでは色々考えるきっかけになったといいます。

この時期から、冷蔵室の棚をクラフトビールで埋める方向に進んでいくのですが、単に知識がなかったからだと笑います。
実は、他のお酒に比べてビールは足が速いです。
なので、リスクがあるので、酒屋さんはクラフトビールばかり集めるところあまりありません。
しかし、コンビニ側から考えると、チルド商品は遅くても20日間。
それに比べると、ビールの方がリスクは少なかったのです。

そんなロジックで、クラフトビールを揃え始めましたが、パッケージの彩りもきれいで、その上、美味しいクラフトビールの魅力に取りつかれていきます。

緊急事態宣言が終わり、再オープンする際は、ナガノトレーディングさんからクラフトビールを大量に仕入れて、冷蔵ショーケース一面をクラフトビールが占める状態となりました。

休業再開する際の様子

そこから、クラフトビールマニアのお客さんと仲良くなり、毎日のようにお越しになり、色々と勉強しながらお店が進化していきます。
中山さん曰く、ちょうど国内のブリュワリーも、コロナ禍で飲食店に流通するお酒が余っており、コンタクトを取るとすぐに取り扱いを開始してくれるところが多く、私たちにとっては「コロナ禍のせいで」というよりは、「コロナ禍のおかげで」このように進化していったとのこと。

そこから、さらに色々なマニアの人たちとコミュニケーションをとりながら、様々なブリュワリーとコンタクトをとり、品揃えを増やしていき、今の形へと進んでいったそうです。


狂ったセブンイレブンの未来

まだまだ進化の途中ですと。中山さんはおっしゃいました。

詳細は教えてくれませんでしたが、色々と考えているそうで、今後もクラフトビールが楽しめる場所として、進化を遂げていくことは間違いないでしょう。

ピンチから生まれた新しい形のセブンイレブンは、今やクラフトビール好きの心を捉えてわざわざ遠くからお越しになる方も少なくありません。
見るだけでも楽しい場所ですが、きっとお気に入りの一杯が見つかるはずなので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?

[店舗情報]
セブンイレブン ハンマーヘッド店
〒231-0001 神奈川県横浜市中区新港2丁目14−1


※ また、ビール好き、ランニング好きが集まるイベントが、非オフィシャルで開催されてます。

6/12 第3回CRAZY7 狂ったセブンランが開催

《CROSS×》の鎌倉ナイトトレラン等のナビゲーターでお馴染みの『trailhashiruaround』さんが開催するランニングイベント。

ルールは簡単。
■ 好きな場所・時間からランニングスタート!
■ 2022年6月12日(日) 午前11時「狂ったセブン」でゴール!
■ 好きなビールを買って飲む!
■ 参加費無料・申込不要

こちらのイベントの第3弾が開催されます!
好きな場所から、「狂ったセブンイレブン」目指して走って、ビール/ラン好きとクラフトビールを呑むというシンプルなイベント。
毎回人数が増えているそうです。

第3弾の今回は、何人集まるでしょうか!?
ご興味がある方は、下記のサイトから詳細をご確認ください。

https://www.trailhashiruaround.com/entry/event-run-beer-crazy7-0612



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